2017年10月26日

外国人が日本で経営活動を行うための在留資格


【一般:基礎】


外国人が日本で会社を経営する場合は、在留資格「経営・管理」(通称:経営・管理ビザ)を取得する必要があります(※)。



※在留資格「経営・管理」の許可を受けていなくても、活動内容に制限がない「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」などの在留資格を有する場合は、企業の経営活動に従事することが可能です。


平成26年改正入管法(平成26年6月18日公布、平成27年4月1日施行)により、従来、外国人が日本で経営・管理活動に従事するための在留資格であった「投資・経営」が「経営・管理」となりました。単なる名称変更ではなく、条件も変更されました。

その結果、従来の在留資格「投資・経営」では、外資系企業(外国人または外国企業の資本が一定割合含まれる企業)の経営を行うことが条件でしたが、在留資格「経営・管理」では、100%日本資本を含む外資系企業以外の経営活動もその対象になりました。

 

以下の方たちの経営活動または管理活動が在留資格「経営・管理」に該当します。


1.企業の経営者(代表取締役、取締役、監査役など)


次のパターンがあります。

 

@自ら起業し、その経営を行う場合

※会社を設立する場合だけでなく、個人事業でも認められる場合があります。


A既存の事業に投資して、その経営を行う場合

 

B海外の親会社など日本にある子会社など派遣される場合

※この場合、通常、本人は投資しません。



2.企業の管理者(部長、工場長、支店長など)

※在留資格「企業内転勤」や「技術・人文知識・国際業務」に該当する場合もあります。

※入管法上、在留資格「経営・管理」に該当する企業の管理者は、「技術・人文知識・国際業務」には該当しないのですが、実務上この辺は非常に曖昧で、部長などの多くは、「経営・管理」より「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で活動していると思われます。一般に、「経営・管理」より「技術・人文知識・国際業務」の方が取得しやすいことが多いですが、「技術・人文知識・国際業務」では一定の学歴・実務経験が条件となっているので(経歴要件)、経歴要件を満たせない申請人は、「経営・管理」の取得を目指すことになります。 



  在留資格「経営・管理」を取得するには、最低限下記条件を満たすことが必要です。詳しくは、「在留資格『経営・管理』の条件−企業の経営者・管理者のビザ」をご参照ください。


@住居と独立した事務所を用意すること。


※自宅兼事務所であっても、衣食住の空間と分離独立しているなど安定的に業務に従事できる環境であれば、許可される場合があります。戸建ての住宅のうち1階部分を事務所、2階部分を住居とする場合はいいのですが、居住スペースを通らないと事務所スペースに行くことができない物件は、避けるべきです。   




A事業の規模が、2人以上の常勤職員(日本人・永住者等に限ります)がいるか、資本金が500万円以上であること。


※常勤職員が1名いる場合、資本金250万でこの条件をクリアーできる可能性があります。




B実際に経営・管理活動に従事すること。

 

 ※大卒・専門士であることや一定の実務経験が必要とされる在留資格「技術・人文知識・国際業務」などと異なり、「経営・管理」で企業の経営活動を行う場合、これらの経歴は入管法上の条件とはなっていません。 しかし、真実、実際に経営活動に従事するのかどうかは、入管がもっとも吟味する審査項目であり、一定の学歴・職歴(経営学の知識や企業経営の経験など)は審査結果に影響することがあります。


 

 

 

【ここがキモ!】海外在住者の在留資格「経営・管理」取得


日本にある企業の経営者でありながら、主に海外に住んでいる場合、在留資格「経営・管理」を取得することができるでしょうか?


在留資格は、日本に”在留”するための資格なので、一見、海外に住んでいる場合、在留資格を取得することはできないようにも思われます。


取締役会の出席や取引先との商談などの目的で来日する必要がある場合は、その都度短期滞在ビザを取得して来日すればいいので、「経営・管理」取得の必要性もないように思えます。


しかし、現在、法務省入国管理局は、本人が海外に住んでいる場合であっても、日本企業の経営者であれば在留資格「経営・管理」の取得を可能とする取扱いをしております。


当事務所でも実際に許可されたケースが複数あります。


結局、海外に住んでいる日本企業の経営者が来日するには、次ぎの2つの形態があります。


@在留資格「短期滞在」−「短期滞在ビザ」


会議等必要に応じて、海外の日本国大使館・領事館にて「短期滞在査証(いわゆる短期ビザ)」を取得し来日するケース(欧米やシンガポール、香港、韓国など査証免除国の方の場合、短期ビザの取得は不要です)


A在留資格「経営・管理」−「経営・管理ビザ」


「経営・管理」ビザを取得すれば、来日の都度、
在外の日本国大使館・領事館にて「短期ビザ」を取得する必要がないので便利です。「短期ビザ」の取得は急いでも申請準備の時間も勘案すれば来日までに最低10日程度必要ですが(できれば1か月前から準備したいです)、「経営・経営」資格を保有していれば急な来日の予定でも対応することが可能です。

このことは、在留資格「短期滞在」に該当する、商談や会議出席などの活動を日本で行う場合、「短期ビザ」の取得が免除される査証免除国の国籍の方の場 合に比較して、中国など査証免除国でない国籍の方にとってはよりメリットが大きいです。


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2017年10月26日

在留資格「経営・管理」(経営・管理ビザ)の条件−企業の経営者・管理者のビザ


【一般:応用】


 外国人が企業の経営者・管理者として活動する場合は、在留資格「経営・管理」(経営・管理ビザ)を取得することが必要です。もっとも、外国人が、活動制限のない、在留資格「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」にて在留している場合、そのままの状態で経営・管理活動に従事することが可能です。


 以下、在留資格「経営・管理」の条件についてご説明いたします。


1.経営・管理活動に従事すること。


※単に取締役として登記されている、部長として任命されているだけでなく、実際に 事業の経営・管理に従事することが必ず必要です。申請でもその立証が最重要ポイントになります。

※入管法上、部長などの管理者は在留資格「経営・管理」の対象とされ、「経営・管理」に該当する場合は、「技術・人文知識・国際業務」の適用は排除されています。しかし、入管実務では、このことは徹底されておらず、部長などの「管理者」でありながら、「人文科学の分野に属する知識を必要とする業務」に従事するとして「技術・人文知識・国際業務」が許可されている例は少なくありません。



これには、3つのパターンがあります。


 

@事業の経営を開始してその経営・管理に従事する場合


⇒外国人自ら会社を設立し、社長としてその経営を行う場合など

※会社形態ではない個人事業でも安定的・継続的な事業遂行が可能な経営基盤を立証できれば許可される場合があります。

例)外国人コックが独立して自分のレストラン(個人事業)を開業する場合(「技能ビザ」から「経営・管理ビザ」に変更します)



Aすでに営まれている事業に参画してその経営・管理に従事する場合 


⇒既存の会社に出資するとともに、代表取締役に就任して経営を行う場合など

 

 

B事業の経営を行っている企業に代わってその経営・管理に従事する場合


⇒日本に子会社を設立した海外の親会社が従業員を日本に派遣して、日本子会社の経営に従事させる場合など

 

※かつては、代表取締役のうち1名以上は日本に住所を有していることが必要とされていました。しかし、平成27年3月16日、従来の取扱いが変更され、すべての代表取締役の住所が海外にある場合でも、会社設立が可能となりました。

 

内国株式会社の代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合の登記の申請の取扱いについて(通知)
平成27年3月16日付法務省民事局商事課長通知(法務省民商第29号)

 

在留資格「経営・管理」の基準の明確化(2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合の取扱い)

 




2. 安定的かつ継続的に事業が営まれること(経営基盤がしっかりしていること)。

※事業が安定的かつ継続的に営まれている実績や今後営まれることの確たる見通しを「事業計画書」や「損益試算表」などで立証する必要があります。





3.事業の規模が次の@からBのいずれかであること。


@ 2名以上の常勤職員(※)が従事して営まれるものであること。

 

※ここでいう常勤職員は、日本人、特別永住者、在留資格が「日本人の配偶者等」(日本人と結婚した外国人や日本人の子として出生した者など)、「永住者の配偶者等」(永住者と結婚した外国人や永住者の子として日本で出生した者など)、「永住者」(永住権を取得した者)、「定住者」(日系人など)などである必要があります。すなわち、在留資格が「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」などいわゆる就労ビザで在留する者は該当しません。

 

 すなわち、「2人以上の日本国に居住する常勤の職員」がいない場合において、「当該事業がその経営または管理に従事する者以外に2人以上の日本国に居住する常勤の職員が従事して営まれる規模のものであること」でいう「規模」かどうかを判断するために、年間投資額500万円以上という基準が平成12年に策定された結果、「投資・経営」で「投資」を言うときは、この「年間投資額500万円以上」という上陸許可基準(基準省令)上の条件を意味するものとなってしまっています。



A 資本金の額または出資の総額が500万円以上であること。



B @またはAに準ずる規模であると認められるものであること。


※@に準ずる規模とは、常勤職員が1名しかいないような場合に、もう1名を従事させるのに要する費用(概ね250万程度)を投下して営まれているような場合です。

※Aに準ずる規模とは、個人事業の場合において、500万円以上を投資して営まれているような場合です。

 

 

 


4.事業を営むための事業所が存在すること。


@賃貸借契約書の使用目的が事業用、店舗、事務所等事業目的であること。

A会社の経営を行う場合は、賃貸借契約の契約者が会社名義であること。

B月単位の短期賃貸スペースではなく、安定的に使用可能な物件であること。

※独立した事務スペースの賃貸ではなく、いわゆるバーチャル・オフィスでは事業所を確保したと認められません。

 

 

 

 

5.事業の管理に従事する場合は、事業の経営または管理について3年以上の経験を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同額以上の報酬を受けること。

 

※事業の管理に従事する場合のみ求められる条件なので、事業の経営に従事する場合は不要です。

※実務経験期間には、大学院において経営・管理の科目を専攻した期間を含みます。

 

 

 


 


2008年09月24日

「新規事業を開始しようとする場合の投資額が年間500万円以上であること」の意味


【一般】

常勤職員が2名以上存在しない場合に必要とされる「投資額が年間500万円以上」とは、単なる資本金の額ではなく、「実際に事業の経営を開始するために投下した資金(投下しようとする場合を含む)の額」を意味します。

 


「実際に事業の経営を開始するために投下した資金の額」とは、@「日本国の事業所として使用する施設の確保や物品・事務機器購入経費等について実際に使用された資金の額」又はA「使用されずに準備金として保管するもの」のことです。

 


平成12年12月25日付けの事務連絡(「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の在留資格「投資・経営」の上陸許可基準に係るガイドライン策定の背景及びその運用について」)を斟酌すると、


具体的には、下記1)から3)に投資されている金額(予定を含む)が500万円以上であることが必要と思われます。


1)事務所の確保

当該事業を営むための事業所として使用する施設の確保に係る経費。


2)雇用する職員の給与等

常勤・非常勤を問わず、当該事務所において雇用する職員に支払われる報酬に係る経費。

※役員報酬は除かれます。


3)その他

事業所に備え付けのための事務機器購入経費畏び事業所維持に係る経費。




【コラム】


かつて、「投資・経営」の在留資格が認定されたケースの多くは、「現に常勤職員を2人以上雇用している場合、あるいは雇用する予定である場合」でした。それはなぜでしょうか?


私は、「現に常勤職員を2人以上雇用している場合、あるいは雇用する予定である場合」が「雇用保険納付書控」「雇用契約書(写)」などを根拠とする客観的判断になじむからではないかと思います。


しかし、地方入国管理局の審査に通すために事業規模や事業計画に反してまで、当面不必要な常勤職員2人を雇用することはかえって事業の安定性・継続性を害し、法の趣旨にそぐわないものと考えます。


いわんや一部で行われていた名義を借りるなどして常勤職員2名を確保したかのような申請は論外です。


その意味で、地方入国管理局が運用を改め、常勤職員が2名以上確保されていないケースであっても、「投資・経営」の上陸許可基準に該当するとしたのは、入管行政の適正化の見地から非常に意義のあるものと思います。



ご参考) 500万円ガイドライン策定の背景




2008年09月24日

「事業に投資している外国人に代わってその経営を行う活動」の射程範囲


【専門家向け】

外国法人が出資して日本に会社を設立し、当該外国法人の職員が経営者として派遣されるようなケースの場合、当該経営者の活動が「投資・経営」の一類型である「事業に投資している外国人(外国法人)に代わってその経営を行う活動」に該当することは問題ありません。


では、海外在住の外国人Aが投資して会社を設立し、投資をしない日本在住の外国人BがAに代わってその経営に従事する場合、外国人Bの経営活動は、「事業に投資している外国人(外国法人)に代わってその経営を行う活動」に該当するのでしょうか?


「事業に投資している外国人(外国法人)に代わってその経営を行う活動」という文言からすれば、外国人Bの経営活動がこれに該当することも冒頭のケース同様に問題ないように思えます。


しかし、「投資・経営」に該当するためには、「事業に投資している外国人(外国法人)に代わってその経営を行う活動」であっても、外国人B自身にも過半数の出資(資本金1,000万円の場合、500万円以上)を求めるよう指導する審査官かつていました。


また、法務省HP(下記参照)には、「『
相当額の投資については,会社の規模により異なりますが,実質上会社の経営方針を左右できる程度の金額であることが必要であり,最低でも500万円以上の投資が必要となります。」との記載があります。



法務省HPの内容
 

法務省入国管理局フロントページより


総合規制改革会議の「規制改革の推進に関する第3次答申」に関する在留資格認定



法務省HPの上記は、「投資・経営」の類型のうち、「事業に投資している外国人(外国法人)に代わってその経営を行う活動」ではなく、 「事業の経営を開始し若しくは事業に投資してその経営を行う活動」のみを念頭においた記述なのかもしれませんが、その旨の記載はなく分かりにくい記述です。


本省がこのような内容を地方入国管理局に通知すると(上記法務省HPの記述は「事務連絡」として地方入国管理局に通知されています)、上記審査官のような理解に至る者が出ても無理からぬところがあります。



私は、従来から外国人Bの経営活動は、「事業に投資している外国人(外国法人)に代わってその経営を行う活動」に該当すると考えています。


しかし、上述したところから、そうは考えない審査官がいても不思議ではありません。


入管法の解釈上問題のない申請をしても、審査官の法令に対する理解不足から不許可・不交付となることは入管実務において少なくありません。


このような場合、再申請で最終的に許可・交付となっても、貴重な時間を無駄にロスしてしまいます。また審査官の法令に対する理解不足が不許可・不交付の原因であっても、残念ながら審査官の法解釈・判断が正しいものと考えるクライアントも少なくありません。


そこで、具体的案件の申請にあたり、誤った法令理解のもと審査されてしまうおそれを無くすために、法務省対日直接投資総合案内窓口の事前照会制度を利用して法務省にこの問題について問い合わせてみました。


結果、「該当する可能性がある」との回答を得て、この回答書を添付した具体的案件の申請も無事許可となりました。


実務家は「どうなっているか」に加えて「どうあるべきか」を知ることが大切です。さらに「どうあるべきか」を実現してはじめてその「独占業務」を正当化できると考えています。




2008年09月11日

「事業所の確保・存在」の意義


【一般】


「投資・経営ビザ」を取得するためには、「事業所として使用する施設が確保され、又は、事業所が存在していること(事業所の確保・存在)」が必要です。

以下、設問形式で「事業所の確保・存在」の意義をまとめてみました。


〇 どのような場合に「事業所」を確保し、又は「事業所」が存在していると言えるのか?

入管協会発行「国際人流2006年3月号」、入国在留審査要領によると、次ぎの2点を満たしている場合には、「事業所の確保・存在」に適合しているものと認められるとしています。

・経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われること

・財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して継続的に行われていること

なお、「投資・経営ビザ」は、、事業が継続的に運営されていることが求められるので、三ヶ月以内の短期賃貸借スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等を利用したりする場合には、事業所の確保・存在を認められません(入管協会発行「国際人流2006年3月号」、入国在留審査要領)。



〇 取引のある日本企業の一室を事業所として使用する場合、「事業所の確保・存在」に適合しているものと認められるのか?

入管協会発行「国際人流2006年3月号」は、上記の「事業所の確保・存在」の一般的条件を満たし、さらに下記条件を満たしている場合には、事業所が確保されているものと認められるとしています。

・当該企業との間で当該一室の使用及び公共料金等の共用費用の支払いに係る取決め等を締結していること。

・事業を行う設備等を備えていること。

・看板類似の社会的標識を掲げるなど当該企業と別組織であることを明確にしていること。



〇 住居として使用している物件の一部を事業所として利用することは可能か?

入国在留審査要領は、下記条件を満たした場合、可能としています。

・住居目的以外(事業所目的)での使用を貸主が承諾していること(借主と当該法人との転貸借を承諾していること)。

・借主が当該法人が事業所として使用していることを承諾していること。

・当該法人が事業を行うための設備を備えた事業目的占有の部屋を有すること。

・賃貸物件に係る公共料金等の共用費用の支払い取決めが明確であること。

・看板類似の社会的標識を掲げるなど当該企業と別組織であることを明確にしていること。




【関係法令】

 
「投資・経営」の上陸許可基準(基準省令)


一 申請人が本邦において貿易その他の事業の経営を開始しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。

イ 当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。

ロ 当該事業がその経営又は管理に従事する者以外に二人以上の本邦に居住する者(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)で常勤の職員が従事して営まれる規模のものであること。

二 申請人が本邦における貿易その他の事業に投資してその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事し又は本邦においてこれらの事業の経営を開始した外国人(外国法人を含む。以下この項において同じ。)若しくは本邦における貿易その他の事業に投資している外国人に代わってその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。

イ 当該事業を営むための事業所が本邦に存在すること。

ロ 当該事業がその経営又は管理に従事する者以外に二人以上の本邦に居住する者(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)で常勤の職員が従事して営まれる規模のものであること。

三 申請人が本邦における貿易その他の事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営又は管理について三年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。




2008年09月02日

「投資・経営」における『投資』の二面性


【専門家向け】

「投資・経営」に係る上陸許可基準省令は、「二人以上の本邦に居住する者(法別表第一の上覧の在留資格をもって在留する者を除く。)で常勤の職員が従事して営まれる規模」と規定しています。


本来、上陸許可基準はあくまでも「規模」を問題にしており、必ずしも「二人以上の常勤の職員が従事すること」は必須ではありません。


しかし、入管当局の実務運用上、長らく「二人以上の常勤の職員」の存在が「投資・経営」が許可されるための不可欠の条件となっていました。


この点、平成12年12月25日局長通達.pdfが、「規模」に係るガイドラインとして「新規事業を開始しようとする場合の投資額が年間500万円以上であること」(500万円ガイドライン)と定め、「二人以上の常勤の職員」が存在しない場合の「規模」の判断に一応の指針が示されました。


ところで、実は、「投資・経営」の条件として必要とされる「投資」は、上陸許可基準に係る「規模」の適合性を判断する要素としての「投資」以前に、在留資格「投資・経営」の該当性を判断する要素として本来問題になります。


これに対して、入管当局の審査現場では、
上陸許可基準に係る「規模」の適合性を判断する要素として、すなわち、「500万円ガイドライン」における「投資」としてのみ、「投資」額が問題にしているかのように見受けられます。


しかし、そもそも「投資・経営」においては、安定的な在留活動のために「相当額の投資」を行って経営活動を行うことが必要であり、上陸許可基準適合性に論理的に先行する在留資格該当性の要素としてまずは「投資(額)」が問題とされなければなりません。


以上の観点から「投資・経営」の活動類型のうち「事業の経営を開始し若しくは事業に投資してその経営を行う場合」における在留資格該当性と上陸許可基準適合性を整理してみます。


1.在留資格該当性

1)事業の経営を開始し若しくは事業に投資してその経営を行う予定であること。


2)「相当額の投資」があること。

※在留資格該当性の要素としての「投資」概念


3)経営活動をいわゆる外資系企業にて行うものであること。



2.上陸許可基準適合性

1)事業所が確保されていること。


2)事業が常勤職員二人以上と同等の規模(500万円以上の年間投資額)であること。

※上陸許可基準適合性の要素としての「投資」概念


在留資格該当性の要素としての「相当額の投資」も500万円以上とされています。とすると、上陸許可基準適合性の要素としての「投資」額と同額であり、一見あえて在留資格該当性の要素としての投資を実務上問題にする意味はないようにも思えます。


しかし、次のようなケースは、「投資」額を在留資格該当性の要素とするかどうかで「投資・経営」に該当するか否かの判断が異なります。


事案)常勤職員が二人以上確保されているものの、投資額が年間が500万円以上とならない場合


そもそも、投資額が500万円未満である以上、在留資格該当性の要素としての「相当額の投資」があったと認定することはできません。


在留資格該当性を充足しない以上、常勤職員が二人以上確保されているとして上陸許可基準適合性に該当する「規模」を肯定できるような場合であっても、「投資・経営」の該当性を否定せざるを得ません。


この点、地方入国管理局は上陸許可基準適合性における「規模」の要素である「二人以上の常勤の職員」を認定できれば、在留資格該当性の要素としての「相当額の投資」について何ら検討を加えることなく、「投資・経営」の在留資格該当性を首肯する傾向があります。


上陸許可基準の適合性を判断する前にまず在留資格該当性の充足の有無を問題にしなければなりません。その意味で申請者が常勤職員を2名以上確保した場合であっても、投資額の立証が不可欠となります。




2008年10月03日

500万円ガイドライン策定の背景


【専門家向け】



 「投資・経営」係る上陸許可基準における「当該事業がその経営または管理に従事する者以外に二人以上の日本国に居住する常勤の職員が従事して営まれる規模のものであること」は、法務省によると、日米友好通商航海条約第1条1(b)の「外国人が具体的な額の資本を投資した企業または具体的な額の資本を投資した過程に現実に在る企業」を具体化したものとされております。

参照:市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書

 

 そうであるならば、「二人以上の日本国に居住する常勤の職員」の存在は、「規模」を判断するための一要素であり、「二人以上の日本国に居住する常勤の職員」の存在自体は、本来、上陸許可基準適合性にとって不可欠の条件ではないことになると思われます。


 問題なのは、「 規模のものである」かどうかです。


 しかし、入管業務を行う実務家にとっては周知のとおり、かつて(一部例外を除き平成15年ごろまで)、「二人以上の日本国に居住する常勤の職員」の存在は、「規模」を判断するための一要素ではなく、「二人以上の日本国に居住する常勤の職員」の存在が上陸許可基準適合性にとって不可欠の条件として地方入国管理局は運用していました。

 
 このような状況のもと、平成10年10月14日、大韓民国総領事館が、OTO会議に次ぎのとおり問題提起しました。

 「日本では、『投資・経営』の在留資格を受けるためには、日本人を2名以上雇用しなければならない。この条件を満たそうとすると、日本で法人を設立する際の 人件費の負担が非常に重くなり、法人の設立自体が難しくなる。したがって、対日投資促進の観点から、「投資・経営」の在留資格を受けやすくなるよう上記条 件を廃止すべきである。」

参照:市場開放問題苦情処理推進会議第6回報告書


 これに対し、法務省入国管理局は、当初「在留資格『投資・経営』に係る基準は、事業の安定性・継続性を確保するために必要なものであり、現時点の諸状況に照らしても妥当な要件であるとして、その運用も含めて見直しを行う必要はない」していましたが、

「必ずしも現地人2人の雇用がなくとも、『その程度の規模』の投資があれば、投資・経営者としての上陸が許可される」とするようになりました。


 そのうえで、法務省入国管理局は、「現行の審査基準の運用上、当該基準が現地人2人を雇用する『程度の規模』を要求しているその趣旨が徹底されていなかった面がある」と認め、「今後は、相当額の投資が行われていることが認められる場合には、現地人2人の雇用がなされなくとも、投資・経営での入国を許可する運用を行う、(2) 実用例を踏まえながら、できるだけ合理的な審査上のガイドラインを定める努力を行う」としました。


 これを受けて次ぎのとおり、平成12年3月21日のOTO対策本部決定が出されました。

(決定内容)
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在留資格「投資・経営」に関し、以下の対応を取る。

(1) 在留資格「投資・経営」に係る基準においては、必ずしも現地人2人の雇用がなくとも、「その程度の規模」の投資があれば、投資・経営者としての上陸が許可されるが、現行の審査基準の運用上、その趣旨が徹底されていなかったことから、今後は、相当額の投資が行われている場合は現地人2人の雇用がなされなくとも「投資・経営」の在留資格での上陸を許可するよう早急に各地方の入国管理局にその趣旨を徹底する。

(2)
2人以上の者が常勤職員として従事して営まれる規模を明確化するため、2人を雇用しない場合の合理的な審査上のガイドラインを平成12年中に作成する。

(3) インターネットを介したビジネスなど、必ずしも2人を雇用しなくとも相当規模の事業を継続的、安定的に運営できる新しい事業形態の企業についても、対日投資促進の観点からこれらの企業を積極的に受け入れるべく、ガイドラインに基づいて、円滑な投資・経営者の入国・在留管理を行う。

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 この結果、「常勤職員が2名以上いない場合」のガイドラインとして「新規事業を開始しようとする場合の投資額が年間500万円以上であること」を旨とする「規模」を判断するためのガイドラインが策定され、下記通達によって法務省入国管理局から地方入国管理局に指示されるに至りました。  

 


【平成12年12月25日 局長通達 法務省管在第4135号】
「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の在留資格「投資・経営」の上陸許可基準に係るガイドラインについて」
(全文:PDFファイル)


【平成12年12月25日 事務連絡】
「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の在留資格「投資・経営」の上陸許可基準に係るガイドライン策定の背景及びその運用について」
(全文:PDFファイル)



※OTO(オーティーオー)とは、Office of Trade and investment Ombudsman(市場開放問題苦情処理体制) のことで、輸入や対日投資の障壁となっている具体的政府規制等に関する苦情を内外の企業等から政府が受け付けるシステムです。平成19年1月には、規制改革会議の体制にその個別苦情を処理する機能が引き継がれました。