2009年01月23日

留学生の在留期間延長その他


【一般】

法務大臣の私的懇談会である「出入国管理政策懇談会」の提言を受け、2020年度までに留学生を30万人に増やす計画の実現に向けた措置の一環として、法務省は下記内容を盛り込んだ出入国管理及び難民認定法改正案を今国会に提出するとのこと。

平成21年(2009年)1月23日 日本経済新聞夕刊より


● 文部科学省「留学生30万人計画」骨子の策定について
● 「留学生30万人計画」閣議決定資料


・留学生の在留期間延長

※現在、許可されている在留期間は、「留学」の場合、2年又は1年、「就学」の場合は、1年又は6月

※どの程度の在留期間に延長するかは、今後検討するとのこと。


・卒業後の就職活動できる期間の延長

※現在、卒業後最長180日間の就職活動目的の在留が認められていますが、それを1年程度にするとのこと。

参考)留学生の卒業後の就職活動継続を目的とするビザ


・在留資格「留学」と「就学」の一本化


・入国審査期間の短縮


・留学生を受け入れる大学などから入管当局への在籍状況の報告義務付け



2017年11月01日

「クールジャパン」と在留資格

一般:応用


 2017年10月28日、読売新聞電子版にて、「クールジャパン長く学んで、補助業務に在留資格」との記事が配信されました。

 


 この記事によると、クールジャパン関連産業の海外展開に向けて、外国人材を育成・活用するため、従来、認められていなかったアシスタントなどの補助業務に外国人留学生が卒業後就くことを認める、具体的には、アニメやファッション分野において、原画作成やデザインなどの創作業務の場合(色付けや裁縫を除く)、最長5年の在留資格が得られ、更新も可能とのことでした。



 しかし、本記事に先立つ2017年9月、「 クールジャパン』に関わる分野において就労しようとする留学生等に係る在留資格の明確化等について」が法務省サイトにおいて公表され、すでに原画作成やデザインなどの創作業務に従事する場合も、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の対象となることが明らかにされています。





【在留資格「技術・人文知識・国際業務」の対象となる具体的ケース】

 

「『クールジャパン』に関わる分野において就労しようとする留学生等に係る在留資格の明確化等について」から抜粋

 

 

<アニメーション分野>


(1) 本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,コンピュータ関連サービスを業務とする会社においてキャラクターデザイン等のゲーム開発業務に従事するもの。


(2) 本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,アニメ制作会社において,絵コンテ等の構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事するもの。


(3) 本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,アニメ制作会社において,入社当初の6月程度背景の色付け等の指導を受けながら行いつつ,その後は絵コンテ等の構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事するもの。

※あくまでも色付けは、従たる活動として、絵コンテ等の構成や原画の作成の付随的活動で言える範囲で限定的に許容されるに過ぎないと思われます。




<ファッション・デザイン分野>


(4) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,デザイン事務所においてデザイナーとして創作業務に従事するもの。



(5) 大学の工学部を卒業した外国人が,自動車メーカーにおいてカーデザイナーとして自動車デザインに係る業務に従事するもの。



(6) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社においてファッションコーディネーターとして商品の企画販促や商品ディスプレイの考案等に従事するもの。



(7) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社の海外広報業務を行う人材として採用された後,国内の複数の実店舗で3か月間販売・接客に係る実地研修(※)を行い,その後本社で海外広報業務に従事するもの。

※東京入国管理局就労審査部門にて、OJTは3か月までしか認められないと言われたことがあります。この点、販売・接客は「技術・人文知識・国際業務」の許可対処外というのが入管実務ですが、一部大手企業の店舗で販売・接客に従事するケースが許可されており(カテゴリー1に該当する企業の場合、十分な審査をしていない現状があります)、ダブルスタンダードだと思います。たとえ、「販売・接客」であっても、高度な専門的知識を要する仕事であっても、「理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」(人文知識)と言える場合は、正面から在留資格「技術・人文知識・国際業務」の該当性を認める運用に変更していただきたいと思います。

 

 

(8) 本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社において,パタンナーとして,裁断・縫製等の制作過程を一部伴う創作活動に従事するもの。

あくまでも創作活動に必然的に付随する範囲での裁断・縫製に限定され、主たる活動が、裁断・縫製である場合には不可と思われます。

 

 



 ところで、「服飾若しくは室内装飾に係るデザイン」は、上陸許可基準において、3年以上の実務経験が必要な「国際業務」(外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」として例示されており、外国人留学生(実務経験がない場合)が果たして「技術・人文知識・国際業務」の許可対象になるのか疑義があるところです。



 この点、「服飾若しくは室内装飾に係るデザイン」と同じく、上陸許可基準において、「国際業務」として例示されている「翻訳、通訳、語学の指導」の運用が参考になります。すなわち、日本の大学・専門学校(日本語や日本文学専攻以外)を卒業した中国人留学生が、日本語・中国語の「翻訳、通訳、語学の指導」に従事する場合(大卒の場合、3年以上の実務経験不要)は、「国際業務」として、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の許可対象になり、大学・専門学校(専門士)で日本語や日本文学を専攻した中国人留学生が、日本語・中国語の「翻訳、通訳、語学の指導」に従事する場合は、「人文知識」(※)として、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の許可対象になるという運用です。


※「人文知識」に該当する業務は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」です。上陸許可基準で、大卒、専門卒(専門士)、3年・10年の実務経験などが経歴が要求されています。




 

【「翻訳、通訳、語学の指導」に従事する場合】


日本の大学・専門学校(日本語や日本文学専攻以外)を卒業した中国人留学生⇒「国際業務」の該当性を検討


大学・専門学校(専門士)で日本語や日本文学を専攻した中国人留学生⇒「人文知識」の該当性を検討

 

 

 

 

 「翻訳、通訳、語学の指導」に従事する場合と同じく「服飾若しくは室内装飾に係るデザイン」に従事する場合も、デザイン分野を大学・専門学校(専門士)で専攻したときは、デザイン分野ももって、「理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野」(人文知識)と考えることが可能なので、「人文知識」としても検討する余地があることになります。

 

 

 実際、2017年10月、この点を東京入国管理局就労審査部門に確認したところ、「『クールジャパン』に関わる分野において就労しようとする留学生等に係る在留資格の明確化等について」で「技術・人文知識・国際業務」の許可可能性が認められいるデザインやアニメの原画作成は、「国際業務」ではなく「人文知識」として考えているとのことでした。