2008年09月01日

在留資格「企業内転勤」の条件−外資系企業の駐在員のビザ


【一般】

海外本社から日本支店へ派遣される者など外資系企業の駐在員の方は、在留資格「企業内転勤」(企業内転勤ビザ)を取得することが必要です。

「企業内転勤」は、平成2年6月1日に施行された入管法によって新設されました。



【ここがキモ!】


外資系企業の駐在員の方は、「技術ビザ」又は「人文知識・国際業務ビザ」に該当する場合もあります。


そこで、「企業内転勤ビザ」と「技術ビザ」又は「人文知識・国際業務ビザ」のどちらを選択すべきかが問題となることがあります。


例えば、海外親会社から日本子会社へ転勤する者の給与を引き続き海外親会社が支払うことを希望し、日本に転勤する者の契約関係がそのまま海外親会社との間に存続するケースがあります(在籍出向ケース)。一時的な転勤のために給与の支給システムを変更したくないなどの理由によります。


ところで、「技術ビザ」又は「人文知識・国際業務ビザ」は、「本邦の公私の機関」との契約が必要です。すなわち、日本子会社と雇用契約等の契約を締結することが求められます。

※法務省入国管理局は、日本に支店を設置している外国法人は、「本邦の公私の機関」に該当するとしていますが、日本に子会社を設立している外国法人は、「本邦の公私の機関」に含まれないとの解釈をしています。


これに対して、「企業内転勤ビザ」は、入管審査の現場では「本邦の公私の機関」との契約は不要とされているので、上記のように海外親会社との契約関係を維持したまま、日本子会社で働くことが可能となります。


そこで、このような場合は、「企業内転勤ビザ」を選択することになります。


「企業内転勤ビザ」が認められるための条件は、次のとおりです。

まず、要点を簡単にまとめた「企業内転勤ビザのPOINT」をご覧ください!

その後、より詳細に解説した【企業内転勤ビザの条件】で各条件をご確認ください。


 
企業内転勤ビザのPOINT


1.技術者又は企業の総合職、通訳、デザイナーなどの仕事をすること

2.日本にある会社と雇用契約などを結ぶことは不要

3.派遣元、派遣先の会社(事業所)の経営状態に問題のないこと

4.大学卒業者又は10年の実務経験などの経歴要件は不要

5.直前1年以上、技術者又は企業の総合職、通訳、デザイナーなどの仕事をしていたこと

6.日本人の同様の給与水準であること




【企業内転勤ビザの条件】

1.本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤すること。


※「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関」の「外国にある事業所の職員」が「本邦にある事業所に期間を定めて転勤すること」を文字どおりに理解すれば、本店・支店(駐在員事務所を含む)間の異動など同一企業内の異動のみを「企業内転勤ビザ」は対象としているようにも思えます。しかし、入管当局の取扱いは、”通常”は「転勤」は同一企業内の異動であるが、親会社・子会社間の異動など一定の系列企業内の異動も「企業内転勤ビザ」の対象になるとしています。




【ここがキモ!】


「企業内転勤」に該当する具体的ケースを「同一企業内の異動(法人内の転勤)」か「系列企業内の異動(法人外の転勤)」かの観点から分類すると次ぎのようになります。

1.同一企業内の異動(法人内の転勤)

@海外本社⇒日本支店

A海外支店⇒日本支店(本社は第三国)

B海外支店⇒日本本社

C海外本社⇒日本駐在員事務所

D海外駐在員事務所⇒日本駐在員事務所(本社は第三国)

E海外駐在員事務所⇒日本本社


2.系列企業内の異動(法人外の転勤)

@海外親会社⇒日本子会社

A海外子会社⇒日本子会社(親会社は第三国)

B海外子会社⇒日本親会社

※孫会社は子会社とみなされます。

C海外親会社⇒日本関連会社

D海外関連会社⇒日本親会社

E海外子会社⇒日本関連会社

F海外関連会社⇒日本子会社

※「親会社」「子会社」「関連会社」の定義は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)」における定義に従うとされています。



2.転勤先の事業所において在留資格「技術」又「人文知識・国際業務」に該当する活動を行うこと


3.申請人が次の
いずれにも該当していること。

1)申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において一年以上継続して在留資格「技術」又は「人文知識・国際業務」に該当する業務に従事していること。

外国で直前1年間に行っていた業務と日本で行おうとする業務がともに「技術」に該当する業務であれば、又はともに「人文知識・国際業務」に該当する業務であれば、まったく同じ業務である必要はありません。

例)外国で「人文知識・国際業務」に該当する貿易業務を行っていた者が、日本で「人文知識・国際業務」に該当する通訳・翻訳業務を行おうとする場合


2)日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

※たとえ申請人が日本と比較して物価水準の低い国の出身であっても、日本人と比較してより低額の報酬とすることはできません。



【関係法令】


「企業内転勤」に該当する活動(在留資格該当性)

(出入国管理及び難民認定法別表第二)


本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術の項又は人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動




「企業内転勤」の上陸許可基準


申請人が次のいずれにも該当していること。

一 申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において一年以上継続して法別表第一の二の表の技術の項又は人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる業務に従事していること。

二 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。






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2008年09月01日

直前在職歴が1年未満の職員が支店等に派遣される場合

【専門家向け】

事例:在上海のある中国企業の職員(直前の在職歴1年未満)が、その中国企業の支店等(在日本駐在員事務所を含む)への転勤する場合、どのような在留資格に該当するのか?

直前の在職歴が1年未満⇒在留資格「企業内転勤」不可。

一方、支店等は法人格がないので、本邦の公私の機関との契約が必要な在留資格「人文知識・国際業務」も不可。

しかし、平成16年2月17日付事務連絡(在留資格「投資・経営」及び「企業内転勤」の留意点について)は、「外国にある本店、支店等において行った外国法人との契約をもって”契約に基づくもの”として取り扱う」としています。

すなわち、日本に支店等がある外国法人は、「本邦の公私の機関」として取り扱うとしています。

現在、東京入国管理局では直前の在職歴が1年未満のケースで「企業内転勤」が不可の場合、当該外国人が「日本に支店等がある外国法人」との間に雇用契約等があれば、「本邦の公私の機関との契約」の存在が認定されています。

2008年9月1日

2008年09月02日

「企業内転勤」における「関連会社」

【専門家向け】


「企業内転勤」に該当する活動は、入管法別表第二によると「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行う入管別表第二の技術の項又は人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」とされています。

この点、入国在留審査要領は、「『転勤』は、通常、同一会社内の異動であるが、系列企業内の出向等も『転勤』に含まれる。」としています。


【コラム】

入国在留審査要領に対する疑問


入管法別表第二の規定する「企業内転勤」の活動である「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行う入管別表第二の技術の項又は人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」は、次の二つの要素で成り立っています。


1.「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関」の存在

2.「(その公私の機関の)外国にある事業所の職員」が「(その公私の機関の)本邦にある事業所」に転勤すること。


すなわち、そもそも法文上、「企業内転勤」は、「同一会社間の異動」のみを規定しています。

入国在留審査要領は、
「『転勤』は、通常、同一会社内の異動」としていますが、法文は同一会社間(本店−支店・駐在員事務所および支店−駐在員事務所間)のみを規定しているのです。


もちろん、私も「系列企業内の出向等も『転勤』に含まれる」とする解釈の必要性は十分理解できます(実務上固まっている運用です)。

しかし、無理な法解釈によって法令を運用することは、当該法令の射程範囲(さらには就労資格全般)が不明確となり、外国人の当該行為の在留資格該当性につき申請者側に事前の合理的な予測を行わせることができなくなります。


本来は、「企業内転勤」の改正によって対処すべきと思われます。「企業内転勤」と「技術」「人文知識・国際業務」をめぐる入管解釈運用の混乱については別途言及したいと思います。




ここに「系列企業内」とは、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)第8条にいう「親会社」、「子会社」及び「関連会社」を指す、としています。

すなわち、入国在留審査要領では、「企業内転勤」には、一般的な本店と支店間の異動、親会社と子会社間の異動、子会社間の異動に加えて、「関連会社への異動」をも該当すると取り扱っています。

「関連会社への異動」として、@親会社から関連会社への異動、A子会社から関連会社への異動、B親会社から子会社の関連会社への異動、C関連会社から関連会社への異動、が想定できますが、入国在留審査要領によると、BCは、ここにいう「関連会社への異動」に含まれないとされています。


では、「関連会社」とは、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)においてどのように定義されているでしょうか?

この点、同規則第8条5項は、次のように「関連会社」を定義しております。

「『関連会社』とは、会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等をいう。」

重要な影響を与えることができる場合」については、同規則第8条6項が規定していますが、複雑な条文なので次のように簡略化して整理しました。

「関連会社」に係る部分の財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号).pdf


1号:単独で他社の20%以上の議決権を所有する場合
⇒出資関係のみで「重要な影響を与えることができる場合」に該当

2号:単独で他社の15%以上の議決権を所有する場合
⇒出資関係に、「人事、資金、技術、取引等の関係」を加味してはじめて「重要な影響を与えることができる場合」に該当

3号:複数の社が合同で他社の20%以上の議決権を所有する場合
⇒出資関係に、「人事、資金、技術、取引等の関係」を加味してはじめて「重要な影響を与えることができる場合」に該当

4号:複数の社が契約等で共同で他社を支配する場合


単独の場合20%以上の出資関係、合同の場合15%以上の出資関係+「人事、資金、技術、取引等の関係」で「関連会社」に該当することが分かります。