【一般】


企業の総合職、通訳、デザイナーなどとして外国人の方が日本で働くには、在留資格「人文知識・国際業務」(人文知識・国際業務ビザ)を取得することが必要です。

「人文知識・国際業務」は、平成2年6月1日に施行された入管法によって新設されました。


「人文知識・国際業務ビザ」が認められるための条件は、次ぎのとおりです。

まず、要点を簡単にまとめた「人文知識・国際業務ビザのPOINT」をご覧ください!

その後、より詳細に解説した【人文知識・国際業務ビザの条件】で各条件をご確認ください。



人文知識・国際業務ビザのPOINT!
 

1.総合職(貿易、営業、総務等)、通訳・翻訳、デザイナー等の仕事をすること

2.会社と雇用契約などを結ぶこと

3.会社の経営状態に問題のないこと(きちんと給与の支払いができるか)

4.大学卒業者又は10年の実務経験があること

専修学校修了者については、
専修学校修了予定者の就労ビザ取得をご参照ください。

5.大学での専攻又は実務経験と従事する予定の仕事に関連性があること

 







【人文知識・国際業務ビザの条件】


1.次のいずれかに該当する活動を行うこと。

1)法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事する活動(「人文知識」)

※いわゆる文系の総合職の業務がこれに該当します。


2)外国の文化に基盤を有する思考若 しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(「国際業務」)

※「翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務」がこれに該当します。



2.上記1の活動が本邦の公私の機関との契約に基づいて行うものであること。


※「本邦の公私の機関」には、入管の内規である入国在留審査要領上「日本に支店・支社等を有する外国法人」も含まれるとされています。すなわち、勤務場所が外国法人の日本支店の場合、日本支店自体には法人格がなく契約当事者にはなれないので、雇用契約等は日本支店を設置した外国法人そのものとの間に締結されることになります。このような場合、当該外国法人は、文言上「本邦”外”の公私の機関」となるはずですが、「日本に支店・支社等を有する」ことをもって「本邦の公私の機関」として入管審査の現場では取り扱われております。

ご参考 「本邦の公私の機関」と外国会社の日本支店


※「本邦の公私の機関」は、事業が適正に行われるもので、かつ安定性及び継続性の認められるものでなければなりません。



3.申請人が次のいずれにも該当していること。


1)申請人が
人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、これに必要な知識に係る科目を専攻して 大学を卒業し若しくはこれと同等以上の教育を受け又は従事しようとする業務について十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該知識に係る科目を専攻した期間を含む。)により、当該知識を修得していること。


「人文科学の分野に属する知識を必要とする業務」とは、いわゆる文系の総合職が従事するような業務(営業、会計、貿易事務など)のことです。


※「従事しようとする業務」と”大学での専攻”又は”
十年以上の実務経験で修得した知識”が関連していることが必要です。

例)大学で日本文学を専攻した中国人留学生が建設会社から内定をもらい、入社後営業職に従事しようとする場合は、「人文知識・国際業務」に該当しません。但し、上記建設会社が中国に進出しており、社内に日中翻訳、通訳の業務がある場合は、下記3の2に該当するもの(「国際業務」)として、「人文知識・国際業務」が認定される場合があります。


※いわゆる文系学部出身のシステムエンジニアは、就職に伴う在留資格変更が認められる場合は、「技術」ではなく、「人文知識・国際業務」となりますので注意が必要です。文系学部出身のシステムエンジニアが就職できるのは、あくまでも大学での専攻”とシステム開発(の内容)との間に関連性があるからです。例えば、大学で地方自治について専攻したものが、地方自治体の行政システムの開発に従事するような場合は就労への在留資格変更が認められる可能性がありますが、たとえどんなにソフトウェア開発が得意であっても、大学の専攻と関連のない限り、在留資格変更は認められません。


※「大学」には、「大学の専攻科、短期大学、大学院、大学付属の研究所等」のほか、学校教育法上の大学でない放送大学も含まれます。


【ここがキモ!】


専修学校の場合は、たとえ専門過程において教育を受けたときであっても、専修学校の目的には「深く専門の学芸を教授研究」することが規定されていないので、大学卒業と「同等以上の教育を受け」たことにならないとされております。

もっとも、現在の取扱いでは、専修学校を卒業し、「専門士」を付与される者は「留学」から「人文知識・国際業務」への在留資格変更が許可される場合もあります。

ただし、この場合、①いったん帰国した者が在留資格認定証明書の交付申請する場合は、「人文知識・国際業務」の認定が認められないこと、②専門学校で修得した知識と従事しようとする業務との関連性が大学卒業者以上に厳格に審査されること、などの点は注意してください。

ご参考:
専修学校修了予定者の就労ビザ取得

 




2)申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。


イ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。


※大学で「翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発」等を専攻した場合は、3の1に該当する者として「人文知識・国際業務」が認定されます。



ロ 従事しようとする業務に関連する業務について
三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。


【ここがキモ!】


「ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。」

この規定を文字どおりに解釈すれば、「大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合」は、本来必要な「三年以上の実務経験」が不要ということになります。

この点、日本の大学を卒業した者が日本語と母国語の「翻訳、通訳」業務に従事することについては問題ありませんが、アメリカの大学を卒業した者が日本語と英語の「翻訳、通訳」業務に従事することを入管実務では認められません。

形式上、上記文言には該当しますが、たとえ大学を卒業した者であっても、「翻訳、通訳」業務に従事するために必要な言語能力がないと思われる場合には、「人文知識・国際業務」の活動を安定的・継続的に遂行することができないからです。

なお、卒業したのはアメリカの大学であるものの、過去日本で長期間生活していたことがあるなどの理由により、日本語の文化的素養を有している者については、「人文知識・国際業務」が認定される場合があります。

さらに、アメリカの大学の専攻分野が「日本語」「日本文学」などの場合には、3の1に該当するものとして(3の2ではありません)、「人文知識・国際業務」が認定されます。




3)申請人が日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

※たとえ申請人が日本と比較して物価水準の低い国の出身であっても、日本人と比較してより低額の報酬とすることはできません。



ご参考)留学生の卒業後の就職活動継続を目的とするビザ
 


【関係法令】



「人文知識・国際業務」に該当する活動(在留資格該当性)


本邦の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務又は外国の文化に基盤を有する思考若 しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の投資・経営の項から教育の項ま で、企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)

(出入国管理及び難民認定法別表第一の二)





「人文知識・国際業務」の上陸許可基準


申請人が次のいずれにも該当していること。ただし、申請人が、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和六十一年法律第六十六号)第五十八条の二に規定する国際仲裁事件の手続についての代理に係る業務に従事しようとする場合は、この限りでない。

一 申請人が人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、これに必要な知識に係る科目を専攻して 大学を卒業し若しくはこれと同等以上の教育を受け又は従事しようとする業務について十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後 期課程又は専修学校の専門課程において当該知識に係る科目を専攻した期間を含む。)により、当該知識を修得していること。

二 申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。

イ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。

ロ 従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。

三 申請人が日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。





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【専門家向け】


在留資格「研究」「技術」「人文知識・国際業務」及び「技能」「特定活動(特定研究活動OR特定情報処理活動の場合)」は、当該外国人の活動が在留資格該当性を有するためには、当該外国人と「本邦の公私の機関との契約」が必要とされています。


この点、「技術」「特定活動(特定研究活動OR特定情報処理活動の場合)」」に係る入国在留審査要領は、 「『機関』には、本邦に事務所、事業所を有する外国法人も含まれる。」と記載しています。


では、「本邦に事務所、事業所を有する外国法人」とは何を意味するのでしょうか?下記1.から3.のいずれもこれに該当するのでしょうか?


1.本邦に駐在員事務所を有する外国法人

2.本邦に日本支店を有する外国法人

3.本邦に日本法人(小会社)を有する外国法人(親会社)


実務(審査の現場)では、1.〜3.のいずれも許可例があります。

しかし、3.についてはある地方入管にて許可例はあるものの法務省としては否定的のようです。


「駐在員事務所」や「日本支店」は法人格がないので、契約主体になり得ません。よって、「駐在員事務所」や「日本支店」に勤務する者を「技術」や「人文知識・国際業務」とするためには、「外国法人」そのものを「機関」としなければならなくなります(注1)(注2)。


本邦に駐在員事務所日本支店を有する外国法人を「本邦に事務所、事業所を有する外国法人」に含める必要性があります。


これに対して、「日本法人(小会社」」は、当該外国法人と資本関係、人的関係があっても、あくまでも「外国法人(親会社)」とは別会社です(親と子が別人なのと同様)。


また、
「技術」や「人文知識・国際業務」で在留しようとする外国人は、直接「日本法人(小会社)」と「契約」することが可能であり、「外国法人(親会社)」そのものを「機関」として扱う必要性は「駐在員事務所」ないし「日本支店」が本邦にある外国法人に比べ少ないといえます(注3)。


しかし、駐在員事務所を本邦に有する外国法人が「機関」に該当し、より安定的な「事務所、事業所」(日本法人)を本邦に有する外国法人が「機関」に該当しないとの判断には違和感を感じるのも事実です。


さらに、そもそも、たとえ駐在員事務所ないし日本支店を有するとしても、外国法に基づき設置され、本店も国外にある外国法人をもって「本邦の機関」とする解釈にも疑問を感じます。


「本邦の公私の機関」の解釈が「企業内転勤」「技術」「人文知識・国際業務」の解釈の混乱の一因になっていると思われるので(逆にこれら就労資格の解釈の混乱が「本邦の公私の機関」の解釈に混乱を生じさせているともいえます)、
法改正も視野に入れて一度概念をしっかり整理する必要性を感じます。



(注1)

「機関」は法人だけでなく、個人も該当するので(実務上レアケースですが)、「駐在員事務所代表」個人、「日本支店長」個人との「契約」によって「技術」の資格該当性を充足するという方法もありえます。


(注2)

そもそも「本店支店間」「本店駐在員事務所間」の転勤は、「企業内転勤」でのみ可能というのがかつての入管での運用でした。しかし、「企業内転勤」では、直前1年以上の在職歴が必要となり、比較的最近入社した者を派遣できないという問題がありました。そこで、市場開放問題苦情処理対策本部決定に基づき「技術」「人文知識・国際業務」にも該当し得るという運用に変更されたと推測されます。

ご参考)

基準・認証制度等に係る市場開放問題についての対応
(平成8年3月26日市場開放問題苦情処理対策本部)

「外国人が我が国に入国・在留する際の在留資格該当性及び上陸審査基準をより透明性の高いものとするため、規定の解釈等を明確に示す。また、外国人が外国企業との契約に基づいて、健全な経済活動を行うことを目的として、日本国内に新たに事務所等を開設しようとする際に、現行法令の運用の見直し等により、当該 外国人に在留資格を付与する(在留資格の変更を認める)方向で改善策を講ずる。」



(注3)

しかし、日本法人を有する場合であっても、外国法人そのものに採用された外国人は、労務管理の都合上、外国法人との使用被使用関係を維持したまま、本邦で活動することを望む外国法人(大手企業の場合は特に)も少なくありません。


2008年2月1日執筆
2008年9月20日加筆補正

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