外国人高度人材向けのビザ【在留資格「高度専門職」】


一般:応用


1. 在留資格「高度専門職」の新設と優遇措置

 いわゆる外国人高度人材に対しては、平成24年3月30日に制定された外国人高度人材を対象とする在留資格「特定活動」に係る法務大臣告示(同年5月7日施行)で、ポイント制(※)が採用され様々な優遇措置を施されていましたが、平成26年3月11日、外国人高度人材向けの在留資格「高度専門職」が新設され、併せて優遇措置の拡充と高度人材の認定基準緩和を定めた入管法改正案が第186回国会に提出され、平成27年4月1日から施行されています。


※ポイント制度とは、「学歴」「職歴」「年収」等の項目ごとにポイントを設け、その合計額が一定の点数に達した外国人を「高度人材外国人」と認定して、出入国管理上の優遇措置が講じるもので、具体的には、①複合的な在留資格の付与、②永住許可要件の緩和、③配偶者の就労の許容、④親の帯同の許容、⑤家事使用人の帯同の許容、⑥最長5年の在留期間の付与などの優遇措置が規定されています。

 平成29年4月26日には、ポイント計算に係る法務省令(出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令)が改正され、これまで以上に高度人材として在留資格「高度専門職」の対象になる方が増えました。

2.優遇措置の内容

(1)「高度専門職1号」の場合

ア 複合的な在留活動の許容

 通常、許可された1つの在留資格に対応する活動しかできません。しかし、高度人材外国人は、例えば、大学での研究活動(在留資格「教授」に該当)と併せて関連する事業を経営する活動(在留資格「経営・管理」に該当)を行うなど複数の在留資格にまたがるような活動を行うことができます。

 

 

イ 在留期間「5年」の付与

 新規に就労系の在留資格を取得する場合、「1年」の在留期間が付与されることも多いですが、高度人材外国人に対しては、法令上の最長の在留期間である「5年」が一律に付与されます。

 

 

ウ 在留歴に係る永住許可要件の緩和

 永住許可を受けるためには、原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要とされます。しかし、高度人材外国人の場合、最短で引き続き1年以上の在留で永住許可の対象となります。

 

永住許可に関するガイドライン(平成29年4月26日決定)(法務省サイト)

※2原則10年在留に関する特例(6)(7)を参照ください。

 

 

エ 配偶者の就労

 本来、外国人が在留資格「教育」「技術・人文知識・国際業務」などに該当する活動を行おうとする場合には、学歴・職歴などの一定の要件を満たし、これらの在留資格を取得する必要があります。しかし、高度人材外国人の配偶者の場合は、学歴・職歴などの要件を満たさない場合でも、これらの在留資格に該当する活動を行うことができます。

 

 

オ 一定の条件の下での親の帯同の許容

 現行制度では、就労を目的とする在留資格で在留する外国人の親の受入れは認められません。しかし、 ①高度人材外国人又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含みます。)を養育する場合、又は②高度人材外国人の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度人材外国人本人の介助等を行う場合のいずれかに該当する場合は、一定の要件の下で高度人材外国人又はその配偶者の親(養親を含みます。)の入国・在留が認められます。

 

(主な要件)

①高度人材外国人の世帯年収※が800万円以上であること。

※高度人材外国人本人とその配偶者の年収を合算したものをいいます。

②高度人材外国人と同居すること。

③高度人材外国人又はその配偶者のどちらかの親に限ること。

 

 

カ 一定の条件の下での家事使用人の帯同の許容

 従来、外国人の家事使用人の雇用は、在留資格「経営・管理」「法律・会計業務」等で在留する一部の外国人に対してのみ認められていました。この点、高度人材外国人については、一定の要件の下で外国人の家事使用人を1名帯同することが認められています。

 

(主な要件)

① 外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用する場合の条件(入国帯同型)

・高度人材外国人の世帯年収が1,000万円以上あること。

・家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること。

・帯同する家事使用人が本邦入国前に1年間以上当該高度人材外国人に雇用されていた者であること。

・高度人材外国人が本邦から出国する場合、共に出国することが予定されていること。

 

 ② ①以外の家事使用人を雇用する場合(家庭事情型)

・高度人材外国人の世帯年収が1,000万円以上あること。

・家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること。

・家庭の事情(申請の時点において13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者を有すること)が存在すること。

 

 

キ 入国・在留手続の優先処理

 高度人材外国人に対する入国・在留審査は、優先的に早期処理が行われます。

入国事前審査に係る申請(在留資格認定証明書の交付申請)については申請受理から10日以内を、在留審査に係る申請(在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請)については申請受理から5日以内を目途とされています。

(2)「高度専門職2号」の場合

ア 在留資格「高度専門職1号」で認められる活動のほか、その活動と併せて就労に関する在留資格で認められるほぼ全ての活動を行うことが可能であること。

 

 

イ 在留期間が「無期限」であること。

 

 

ウ 上記ウ、エ、オ、カまでの優遇措置が受けられること。


3.ポイント計算方法

 高度人材として、在留資格「高度専門職」の付与を受けるためには、本邦において行おうとする活動が在留資格「教授」「芸術」「宗教」「報道」及び「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「興行」「技能」のいずれかに該当すること(在留資格「経営・管理」以下については、それぞれの上陸許可基準に適合することも必要となります。)に加えて、「高度専門職省令」(※)が規定する基準で計算した結果、70ポイント以上であることが必要です

資料:ポイント計算表(法務省サイト)

※「高度専門職省令」とは、「出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令」(平成二十六年法務省令第三十七号)のことをいいます。

4.対象となる活動

 在留資格「高度専門職」には、「高度専門職1号」と「高度専門職2号」の区分があり、「高度専門職1号」は、さらにイ、ロ、ハの区分に分けられています。したがって、在留資格「高度専門職」には、下記の①から④のパターンがあることになります。それぞれのパターンは、独立した在留資格されていますので(入管法第2条の2)、あるパターンから他のパターンへの変更には、在留資格変更許可申請が必要となります。

①「高度専門職 第1号イ」

②「高度専門職 第1号ロ」

③「高度専門職 第1号ハ」

④「高度専門職 第2号」

高度専門職1号

一 高度の専門的な能力を有する人材として法務省令(高度専門職省令)で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であつて、我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの

 

イ ①法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動又は②当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動

 

※「教授」「教育」と異なり、民間企業の社内研修で教育をする活動も該当します。

 

ロ ①法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又は②当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動

 

ハ ①法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動又は②当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動

 

※「関連する事業」であることが必要なので、IT企業の役員が飲食業を経営することはできません。

 

高度専門職2号

二 前号に掲げる活動を行つた者であつて、その在留が我が国の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合するものが行う次に掲げる活動・・・④

 

イ 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導又は教育をする活動

 

ロ 本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動

 

ハ 本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動

 

ニ イからハまでのいずれかの活動と併せて行う一の表の教授の項から報道の項までの下欄に掲げる活動又はこの表の法律・会計業務の項、医療の項、教育の項、技術・人文知識・国際業務の項、興行の項若しくは技能の項の下欄に掲げる活動(イからハまでのいずれかに該当する活動を除く。)

5.高度専門職2号への変更

 在留資格「高度専門職第1号」を付与されてから3年間在留した場合、その時点でポイントが70ポイント以上であれば、在留資格「高度専門職第2号」への変更が可能となります。 

 「高度専門職2号」の在留期間は、在留資格「永住者」と同じく無期限なので、「高度専門職2号」に該当する就労活動を行っている限り(ここが「永住者」と異なる点です)、更新手続きは不要となります。

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