2008年08月28日

対日投資と在留資格


【一般】

対日投資の際、海外から派遣される外国人や日本国内で採用する外国人の方のビザ(在留資格)が問題となります。

対日投資の形態(日本法人、日本支店、駐在員事務所)によって、どのようなビザ(在留資格)の取得を検討すればよいのかを以下のとおりまとめました。


【対日投資形態によるビザ(在留資格)】


形態 地位 在留資格 備考
日本法人
代表取締役

投資・経営  

取締役

投資・経営 取締役就任が名目的である場合は、
「人文知識・国際業務」「技術」に該当する可能性あり。

監査役

投資・経営  

部長

投資・経営 3年以上の管理経験必要。
課長
人文知識・国際業務
技術
企業内転勤

 
事務系総合職
人文知識・国際業務
企業内転勤

 
技術者
技術
企業内転勤

 
技術系営業職
技術
企業内転勤

大学の理科系学部出身者は、「人文知識・国際業務」には該当しません。営業職であっても、「技術」の該当性を検討することになります。
日本支店 支店長
(日本における代表者)

投資・経営
企業内転勤
人文知識・国際業務
技術

活動の実態、支店の規模等によります。
事務系総合職 企業内転勤
人文知識・国際業務

直前の在職歴が1年以上ない場合などに「技術」や「人文知識・国際業務」の該当性を検討することになります。
 
技術者 企業内転勤」「技術
直前の在職歴が1年以上ない場合などに「技術」や「人文知識・国際業務」の該当性を検討することになります。
 
技術系営業職 企業内転勤」「技術
直前の在職歴が1年以上ない場合などに「技術」や「人文知識・国際業務」の該当性を検討することになります。
 
駐在員事務所 駐在員
企業内転勤
技術
人文知識・国際業務

(「投資・経営」)


直前の在職歴が1年以上ない場合などに「技術」や「人文知識・国際業務」の該当性を検討することになります。

外国法事務弁護士事務所のパートナーなど事務所勤務の者が「投資・経営」となる場合もあります。

「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」などその活動に制限のない在留資格を有する者は、上記いずれの地位に就くことも可能です。



【在留資格」取得のポイント】

@申請人の経歴(学歴、職歴)

A申請人の活動内容

B申請人の経歴と活動内容との関連性

C申請人の就労先の安定性


「対日投資の拠点を設立したけれども、そこで就労する外国人の在留資格が不許可となった」という事態を避けるためにも日本法人など対日投資の拠点の実態が重要となります。

 




2008年09月03日

「本邦の公私の機関」と外国会社の日本支店


【専門家向け】

在留資格「研究」「技術」「人文知識・国際業務」及び「技能」に、当該外国人の活動が該当するためには、「本邦の公私の機関との契約」が必要となります(注1)。


では、「本邦の公私の機関」に外国会社の日本支店(以下駐在員事務所を含む)は該当するでしょうか?外国人は、外国会社の日本支店と雇用契約等の契約を締結し、本邦にて活動することは可能でしょうか?


私は、「機関との契約」とある以上、「機関」には権利義務の統一的な帰属点たる地位・資格、すなわち法人格が必要であり、外国会社そのものと異なり、法人格を有しない外国会社の日本支店は「機関」に該当しないと解します(注2)。 


この点、法務省入国管理局の入国在留審査要領は、従来、「『機関』に外国法人の支店、支社等も含まれる。」と外国会社の支店も「機関」に該当することを前提として記述をしていました(注3)。


しかし、その後一部修正され、平成19年3月以降の入国在留審査要領の「技術」「特定活動」の該当部分は、「『機関』には、
本邦に事務所、事業所を有する外国法人も含まれる。」(第12編第14節「技術」の部分より)となっております。


また、【平成16年2月17日 事務連絡】「在留資格『投資・経営』及び『企業内転勤』の留意点について」は、「外国法人との契約に基づいて『技術』又は『人文知識・国際業務』の在留資格に係る活動を行う外国人に対して在留資格を決定するに際しては、本邦に設置された本店、支店等との間で新たな雇用契約が締結されていることを求める必要はなく、『企業内転勤』の在留資格における『公私の機関』と同様に外国にある本店、支店等において行った外国法人との契約をもって契約に基づくものとして取り扱うこととなる。」とし、外国法人から日本国内の支店・駐在員事務所等へ派遣される外国人の活動が「企業内転勤」のみならず、「技術」又は「人文知識・国際業務」に該当し得ることについて明記しています。


もっとも、第12編第2章第1節「就労資格関係全般事項」の部分は、従前どおり、「『機関』には、外国法人の支店、支社等も含まれる。」との記載のままであり、第12節「研究」、第15節「人文知識・国際業務」等の部分も、「『機関』には、独立した機関として活動する外国法人の支店・支社等も含まれる。」としたままです。


なお、
「機関」に日本支店は含まれず、「本邦に事務所、事業所を有する」との条件付きであるものの、あくまでも「外国会社」そのものを「機関」と見るとしても、外国法に基づき、本邦外にその本社機能を置く組織を文言解釈として「本邦の機関」とみることができるのかという問題は残ります。法務省入国管理局としては、「本邦の」の解釈に当っては、設立準拠法や本店所在地ではなく、「事務所、事業所」といった物理的・事実的契機を重視しているようです。


(結論)

「本邦の公私の機関」に外国会社の「日本支店」は該当しないものの、日本支店を設置する「外国会社」は該当するというのが現在の法務省解釈であり、東京入国管理局でもほぼ確定している取扱いです。

日本支店に勤務する外国人は、外国会社の「日本支店」と雇用契約等の契約を締結することはできないので、日本支店を設置する当該「外国会社」との契約をもって、「公私の機関との契約」と解釈されております。





(注1)

「企業内転勤」も「本邦の公私の機関との契約」が必要とする立場からの事務連絡(平成16年2月17日)もあります。「企業内転勤」を法の規定に従って厳格に解釈する限り、私も必要と考えます。

【平成16年2月17日 事務連絡】
「在留資格『投資・経営』及び『企業内転勤』の留意点について」
(全文:PDFファイル)

しかし、審査の現場では、海外の親会社から日本の子会社に転勤し、しかも海外の親会社との雇用契約がそのまま存続し、かつ日本の子会社と雇用契約を結ばない場合も「企業内転勤」の「典型類型」として扱われていることから分かるように、「企業内転勤」の審査においては特段「公私の機関との契約」は問題にされていないことは周知のとおりです。

この点、「企業内転勤」及び「技術」「人文知識・国際業務」の外延を明確にするためにも法改正等の対応が望まれます。


(注2)

日本支店の代表者(「日本における代表者」)が、日本国において当該外国会社を代表し、契約締結を行うこと自体は可能です。もっとも、その場合の効果は、代表取締役の行為の効果が会社に帰属するように、日本支店ではなく、外国会社そのものに帰属します。



(注3)

本来、ありえない日本支店を契約当事者とする契約書をもって「公私の機関との契約」を認定した審査も過去相当数あるのではと推測します。

もっとも、日本支店を契約当事者とする契約書をもって、契約当事者を外国本社あるいは日本における代表者個人と解釈する余地もあるかもしれません。


(注4)

実際にいつごろ、修正されたのかは不明です。


2008年1月29日執筆
2008年9月18日一部補正