【専門家向け】


在留資格「研究」「技術」「人文知識・国際業務」及び「技能」「特定活動(特定研究活動OR特定情報処理活動の場合)」は、当該外国人の活動が在留資格該当性を有するためには、当該外国人と「本邦の公私の機関との契約」が必要とされています。


この点、「技術」「特定活動(特定研究活動OR特定情報処理活動の場合)」」に係る入国在留審査要領は、 「『機関』には、本邦に事務所、事業所を有する外国法人も含まれる。」と記載しています。


では、「本邦に事務所、事業所を有する外国法人」とは何を意味するのでしょうか?下記1.から3.のいずれもこれに該当するのでしょうか?


1.本邦に駐在員事務所を有する外国法人

2.本邦に日本支店を有する外国法人

3.本邦に日本法人(小会社)を有する外国法人(親会社)


実務(審査の現場)では、1.〜3.のいずれも許可例があります。

しかし、3.についてはある地方入管にて許可例はあるものの法務省としては否定的のようです。


「駐在員事務所」や「日本支店」は法人格がないので、契約主体になり得ません。よって、「駐在員事務所」や「日本支店」に勤務する者を「技術」や「人文知識・国際業務」とするためには、「外国法人」そのものを「機関」としなければならなくなります(注1)(注2)。


本邦に駐在員事務所日本支店を有する外国法人を「本邦に事務所、事業所を有する外国法人」に含める必要性があります。


これに対して、「日本法人(小会社」」は、当該外国法人と資本関係、人的関係があっても、あくまでも「外国法人(親会社)」とは別会社です(親と子が別人なのと同様)。


また、
「技術」や「人文知識・国際業務」で在留しようとする外国人は、直接「日本法人(小会社)」と「契約」することが可能であり、「外国法人(親会社)」そのものを「機関」として扱う必要性は「駐在員事務所」ないし「日本支店」が本邦にある外国法人に比べ少ないといえます(注3)。


しかし、駐在員事務所を本邦に有する外国法人が「機関」に該当し、より安定的な「事務所、事業所」(日本法人)を本邦に有する外国法人が「機関」に該当しないとの判断には違和感を感じるのも事実です。


さらに、そもそも、たとえ駐在員事務所ないし日本支店を有するとしても、外国法に基づき設置され、本店も国外にある外国法人をもって「本邦の機関」とする解釈にも疑問を感じます。


「本邦の公私の機関」の解釈が「企業内転勤」「技術」「人文知識・国際業務」の解釈の混乱の一因になっていると思われるので(逆にこれら就労資格の解釈の混乱が「本邦の公私の機関」の解釈に混乱を生じさせているともいえます)、
法改正も視野に入れて一度概念をしっかり整理する必要性を感じます。



(注1)

「機関」は法人だけでなく、個人も該当するので(実務上レアケースですが)、「駐在員事務所代表」個人、「日本支店長」個人との「契約」によって「技術」の資格該当性を充足するという方法もありえます。


(注2)

そもそも「本店支店間」「本店駐在員事務所間」の転勤は、「企業内転勤」でのみ可能というのがかつての入管での運用でした。しかし、「企業内転勤」では、直前1年以上の在職歴が必要となり、比較的最近入社した者を派遣できないという問題がありました。そこで、市場開放問題苦情処理対策本部決定に基づき「技術」「人文知識・国際業務」にも該当し得るという運用に変更されたと推測されます。

ご参考)

基準・認証制度等に係る市場開放問題についての対応
(平成8年3月26日市場開放問題苦情処理対策本部)

「外国人が我が国に入国・在留する際の在留資格該当性及び上陸審査基準をより透明性の高いものとするため、規定の解釈等を明確に示す。また、外国人が外国企業との契約に基づいて、健全な経済活動を行うことを目的として、日本国内に新たに事務所等を開設しようとする際に、現行法令の運用の見直し等により、当該 外国人に在留資格を付与する(在留資格の変更を認める)方向で改善策を講ずる。」



(注3)

しかし、日本法人を有する場合であっても、外国法人そのものに採用された外国人は、労務管理の都合上、外国法人との使用被使用関係を維持したまま、本邦で活動することを望む外国法人(大手企業の場合は特に)も少なくありません。


2008年2月1日執筆
2008年9月20日加筆補正

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