長期滞在目的の外国人を日本に招へいする方法


一般:基礎


 観光や商談、親族訪問などの目的で短期間来日する場合(※1)ではなく、海外に住んでいる外国人が結婚や仕事などを理由に長期間日本に滞在しようとするには、まず、日本にいる夫や妻や就労予定先企業の担当者など来日目的ごとに指定されている者が本人の代理人として、管轄(※2)の地方入国管理局に在留資格認定証明書の交付申請を行うことになります。


※1 このような場合は、在外公館(日本大使館・領事館)にて、短期滞在査証(いわゆる短期ビザ)の発給申請をして来日します(欧米や香港、台湾、韓国など査証免除国の方の場合は、短期ビザ自体不要です)。


※2 代理人の住所地(在留資格「日本人の配偶者等」など)や企業の所在地(在留資格「技術・人文知識・国際業務」など)を管轄する地方入国管理国が申請窓口となります。



 なお、入管法自体は、①査証(ビザ)発給申請⇒②来日(空港で上陸審査)を原則型としていますが、実務上、①在留資格認定証明書の交付申請⇒②査証(ビザ)発給申請⇒③来日(空港で上陸審査)の順で来日するパターンがほとんどです。

観光や商談、親族訪問などの目的で短期間来日


⇒短期滞在査証(いわゆる短期ビザ)の発給申請を海外の在外公館(日本大使館・領事館)に行う(代行会社などが申請先として指定される場合もあり)。

 

 

結婚や仕事などを理由に長期間日本に滞在


⇒管轄の地方入国管理局に在留資格認定証明書の交付申請




 審査の結果、在留資格認定証明書が交付される場合、代理人の配偶者や就労予定先企業の担当者宛てに地方入国管理局から在留資格認定証明書が簡易書留で郵送されてきます。申請から数週間で交付されることもあれば、数ヶ月かかる場合もあります(※)。また、不交付もめずらしくありません。在留資格認定証明書を受け取った代理人は、その原本を海外にいる本人にEMS郵便や国際宅急便など送付し、本人が管轄の在外公館(日本大使館や領事館)や在外公館が指定する代行会社にて当該在留資格に対応した査証(ビザ)発給申請を行うことになります。


※東京入国管理局の審査期間は、以下のような感じです。


在留資格「日本人の配偶者等」(いわゆる結婚ビザ)⇒3か月半程度

在留資格「技術・人文知識・国際業務」⇒1か月半から2か月程度(但し、3か月から4か月ということもめずらしくありません)

在留資格「経営・管理」⇒1か月半から2か月程度(但し、3か月から4か月ということもめずらしくありません。中には、6か月ということも)


 法務省入国管理局では、1か月から3か月を標準処理期間としていますが、上記のように非常に時間がかかるケースもありますので、余裕をもって準備する必要があります。特に、日本で会社を設立する場合、在留資格「経営・管理」を取得するまで、短期ビザで来日して開業準備に従事することは可能ですが、代表取締役の在留資格が「短期滞在」では銀行口座が開設できず会社の運営に支障が生じます。



 在留資格認定証明書が交付されている場合、たいていは査証(ビザ)も発給されます。しかし、「日本人の配偶者等」「技能(コック)」などの在留資格では、当該在留資格に関わる在留資格認定証明書が交付されていても、査証(ビザ)が発給されないこともあります。査証(ビザ)が発給されなかった場合、その在留資格認定証明書の効力は失効し、再度の在留資格認定証明書の交付申請が必要となりますが、一度在外公館にて査証(ビザ)が発給されなかったりすると、在留資格認定証明書自体も不交付になってしまうことが少なくありません。こうなってしまうと、その外国人の呼び寄せには年単位の時間がかかってしまいます(そもそも、来日自体が困難となります)。

当事務所が扱った査証(ビザ)不発給ケースです。

ケース1 

2回目の申請で在留資格「日本人の配偶者等」(いわゆる結婚ビザ)に係る在留資格認定証明書が交付されたものの、査証(ビザ)が発給されず、その後、3回目、4回目の在留資格認定証明書の申請を行うも、在留資格認定証明書自体交付されなくなってしまう。当事務所で5回目から申請を受任し、6回目の申請で在留資格認定証明書が交付されました。その後、無事、在外公館で査証(ビザ)も発給されました。このケースでは、結婚から招へいまで3年近く経過しています。ご本人たちがあきらめずに頑張った結果来日できましたが、なかなか来日できない結果、夫婦の関係が破たんしてしまうケースもめずらしくないと思います。

ケース2

日本の会社の取締役に就任。2回目の申請で在留資格「経営・管理」(いわゆる経営者ビザ)に係る在留資格認定証明書が交付されたものの、査証(ビザ)が発給されず、その後、3回目、4回目の在留資格認定証明書の申請を行うも、在留資格認定証明書自体交付されなくなってしまう。当事務所で5回目から申請を受任し、5回目の申請で在留資格認定証明書が交付されました。その後、無事、在外公館で査証(ビザ)も発給されました。このケースは、取締役就任から来日まで3年近く経過しています。査証免除国の方ではなかったので、会議などで来日するには短期ビザの取得が必要ですが、短期ビザも発給されない状態でした。当事務所が受任した5回目の申請では、過去の申請を徹底的に検討し、まず複雑に錯綜している事実関係を整理しました(申請準備に3か月から4か月はかかっています)。

(整理:来日までの流れ)

①地方入国管理局にて、在留資格認定証明書の交付申請

※日本人の夫・妻の住所(いわゆる結婚ビザ)や就職先企業(いわゆる就労ビザ)の所在地を管轄する地方入国管理局が申請窓口となります。



②在外公館(日本大使館・領事館)にて、査証(ビザ)発給申請

※申請窓口として、在外公館によって代行会社が指定されていることもあります(中国など)

※在留資格認定証明書が交付されていても、査証(ビザ)が発給されるとは限りません。



③空港にて、上陸許可申請

※在留資格認定証明書の原本はこの段階で提出します。在留資格認定証明書の交付制度は、本来、空港の上陸審査の際に行う在留資格の該当性審査を事前に行うものです。



④区市町村役場 住居地の届出


 本人が「短期滞在」の在留資格で来日中に、たまたま在留資格認定証明書が交付された場合は、いったん出国し海外の在外公館にて査証(ビザ)発給申請をしなくても、在留資格認定証明書を申請書に添付することにより、出国せず日本にいながら、直接「短期滞在」から在留資格認定証明書記載の在留資格への変更許可が可能です。

 一般に、上記のように変更を希望する在留資格に係る在留資格認定証明書が交付されていない限り、在留資格「短期滞在」(短期ビザで来日した場合に空港で付与されます)から他の在留資格に直接変更することはできません。しかし、在留資格「日本人の配偶者等」など一部の在留資格では、直接「短期滞在」からそのまま来日中に変更することが可能なケースもあります(審査の結果、不許可も当然あります)。具体的な案件についてはご相談ください。

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