外国人労働者を雇用するにはどうしたらよいか


一般:基礎


 外国人を雇用する場合、必ず採用を決定する前に、雇用しようとする外国人の就労活動がいずれかの在留資格に該当するか、該当するとしてその条件を満たすか否かを検討しておく必要があります。


 ①国外にいる外国人を採用する場合と②留学生などすでに日本に在留する外国人を採用する場合とで入国管理局に対して行なう在留資格の手続は異なります。

1.国外にいる外国人を採用する場合

1) 在留資格認定証明書の交付申請

 たまたま外国人本人が来日中である場合(短期ビザで来日中のケース)を除き、外国人を採用した会社の担当職員が本人を代理して、雇用会社の所在地を管轄する地方入国管理局に在留資格認定証明書の交付申請を行います。会社の代表取締役でなくても、就労予定先である会社の職員であればだれでも申請代理人となることが可能です。

2) 在留資格認定証明書の交付

 審査が終了すると、地方入国管理局から簡易書留の封書で審査結果が会社宛に郵送されてきます。在留資格関連の処分には、行政手続法が適用されませんが、標準処理期間は1か月から3か月とされています。しかし、地方入国管理局の混雑の程度、申請内容、申請書類の状況(過不足なく、分かりやすく準備されているか)などによっては3か月以上かかるケースもけしてめずらしくはないので、なるべく余裕をもって申請するようにしてください。

 審査の結果、在留資格認定証明書の交付が決定された場合、「在留資格認定証明書」が簡易書留の封書に同封されています。この場合、氏名・生年月日など記載内容に誤りがないかを必ず確認し、紛失に備えてコピーをとった後、在留資格認定証明書の原本を国外の本人宛に確実な方法(追跡可能なEMS郵便や国際宅急便)で郵送します。

 残念ながら、申請内容が当該在留資格の条件を満たさないと判断された場合は、「不交付通知書」が同封されています。その場合、代理人として申請を行った会社の職員は、地方入国管理局にて不交付理由の具体的説明を受けることができます。説明された不交付理由を踏まえて、場合によっては再申請することになります。入管法上立証責任は申請者側にあって、法務省サイトで案内されている必要書類を提出すれば必ず交付となるわけでなく、申請者側の説明不足で不交付となることも少なくありません。そのような場合はしっかりと準備して再申請を行えば交付されることも十分可能です。

3) 査証(ビザ)発給申請

 来日しようとする外国人本人が本人の居住地を管轄する日本大使館領事部・領事館に対して、査証(ビザ)発給申請を行います。中国など日本大使館・領事館指定の代行会社を通じたのみ申請を受け付ける場所(中国など)もありますので、必ず日本大使館・領事館のホームページなどで申請方法を確認してください。

 なお、本人がたまたま「短期滞在」資格で在留資格認定証明書の交付時に来日中であれば、査証(ビザ)発給申請のため一旦出国することなく、「短期滞在」から在留資格認定証明書記載の就労資格に変更許可申請することができます。在留資格認定証明書の交付自体は、交付後に採用取消などの事情変更がない限り、来日時に空港で行なわれる上陸許可審査時に当該在留資格の該当性を予め認めるとの意味しかないため、在留資格の変更許可申請が別途必要となります(在留資格認定証明書が交付された段階では、未だ在留資格は「短期滞在」のままなので注意してください)。

4) 査証(ビザ)発給

 通常1週間程度で就労査証(ビザ)が発給されます。在留資格認定証明書が交付されている場合は特に問題がなければ査証(ビザ)も発給されます。しかし、日本大使館・領事館が地方入国管理局の判断と異なる場合もあるので、在留資格認定証明書が交付されているにもかかわらず、査証(ビザ)が不発給となることもあります。査証(ビザ)が不発給となってしまった場合は、在留資格認定証明書の効力も失効してしまうので、再度、在留資格認定証明書の交付申請を行う必要があります。しかし、査証(ビザ)不発給という事実があると、今度は在留資格認定証明書自体が交付されなくなることが少なくありません。

5) 上陸許可申請

 来日時空港にて上陸許可申請を行いますが、申請書の提出は不要です。パスポート、査証(ビザ)、出入国記録カード(EDカード)、在留資格認定証明書の原本を提示または提出します。入国審査官の質問に対する回答内容などによって、最終的に上陸を許可すべき否かが判断されます。上陸が許可されると、ここではじめて在留資格認定証明書記載の在留資格が外国人に付与されることになります。

6) 住居地登録

 来日後14日以内に、当該外国人は住居地を管轄する市区町村役場を通じて法務大臣あてに住居地登録を必要があります。住所(生活の本拠)が日本になる場合には、市区町村長に対して住民登録を行います(住民登録を行うと自動的に住居地登録もされますので、別途住居地登録は不要です)。

2.すでに日本に在留する外国人を採用する場合

1) 在留資格の変更が必要な場合

 留学生を採用する場合は、在留資格「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格への在留資格変更許可申請を当該外国人の住所を管轄する地方入国管理局に対して行なう必要があります。この点、在留資格認定証明書の交付申請と異なり、管轄は就職先会社の所在地が基準ではないので注意してください。大学や専門学校(専門士を取得できる課程)を卒業することが、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の許可条件の一つになっています(一定の就労経験やIT資格がある場合、大学や専門学校を卒業していなくても許可される場合もあります。)。

 留学生と異なり、すでに日本で就労している外国人を採用する場合、例えばエンジニアであった者を会社の役員として迎え入れる場合など当該外国人が現在有する在留資格ではできない活動に今後従事させる予定の場合は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」から「経営・管理」などへの在留資格変更許可申請が必要となります。

2) 在留資格の変更が不要な場合

 すでに在留資格「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格を有している外国人を採用する場合で、現在有する在留資格で行うことが可能な活動を採用後も行おうとする場合(同種の仕事で転職ケース)は、その在留期間の満了日までの日数に応じて次のとおり在留手続が異なります。

① 在留期間の満了日まで余裕がある場合

 本人が現在有する在留資格は、転職前の会社にて就労することを前提に許可されたものです。そのため転職後の会社でもそのまま就労することが可能であることを確認するため、在留期間の満了日まで数ヶ月の余裕がある場合には、当該外国人の住所を管轄する地方入国管理局に就労資格証明書の交付申請を行い、転職後の会社でも現在有する在留資格で就労することが可能かどうかの判断を仰ぎます。なお、入管法上就労資格証明書の交付申請は義務ではありませんが、次回の在留期間の更新申請をスムーズに行うためには申請しておいた方がいいでしょう。

② 在留期間の満了日まで余裕がない場合

 在留期間の満了日が迫っている場合は、①で述べた就労資格証明書の交付申請を行わず、当該外国人の住所を管轄する地方入国管理局に対する在留期間更新許可申請の際、転職後の会社資料など通常の在留期間更新許可申請では添付しない資料を添付して申請します。この場合、在留期間更新許可申請の審査において、転職後の会社での活動内容が審査されることになります。

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