【専門家向け】


外国人による役務提供が日本国内で行われ、当該外国人が「役務提供の対価を受けている場合」は、 対価を支給する機関が「日本国内にあるか否か」、また、「日本国内で支給するか否か」に関わらず、「報酬を受ける活動」(入管法19条1項2号)に当るとするのが行政解釈であり、私も同様に考えます。


※かつて「報酬を受ける活動」に当るか否かにつき、対価を支給する機関が「日本国内にあるか否か」、また、「日本国内で支給するか否か」かが一部実務担当者(法務・外務省職員)や行政書士などの間で判断基準となっていた時代がありました。このような解釈がなされていた背景には、在留資格としての「短期滞在」概念の弛緩現象が背景にあると思います。


では、外国人が日本国内で行われる関連会社の会議等のために短期間滞在する場合(短期商用の典型的ケース)、当該外国人には、その役務提供に対する対価が支給されるのが通常ですが、そのために当該外国人の日本における活動は「報酬を受ける活動」(入管法19条1項2号)に当るのことになるのでしょうか?当らないとする場合、どのように説明すればいいのでしょうか?


在留資格「短期滞在」と資格外活動に当る「報酬を受ける活動」(入管法19条1項2号)との関係が問題となります。


※入管法19条1項2号は、「短期滞在」で在留する者が「報酬を受ける活動」を行うと「資格外活動」に該当すると規定しています。資格外活動は刑罰の対象となります(入管法70条1項4号、同73条)。



行政解釈)

「役務提供の対価を受けている場合」であっても、「日本国外で行われる主たる業務に関連して、従たる業務に従事する活動を短期間日本国内で行う場合」は、「報酬を受ける活動」に該当しないとしています。


私見)

「役務提供の対価を受けている場合」であっても、当該活動が「短期滞在」に該当する場合は、「報酬を受ける活動」に該当しないと考えます。


そもそも、「短期滞在」はその一類型として、日本国内における活動の結果「役務提供の対価を受ける場合」(短期商用ケース)を
もともと想定していると考えられます。


すなわち、当該外国人の活動が「短期滞在」の活動類型に該当する場合には、「役務提供の対価を受けること」も「短期滞在」の一内容としているのではないでしょうか。


その意味で、「短期滞在」の活動類型に該当する場合には、そもそも19条1項2号における「報酬を受ける活動」の当否は問題にならないと考えます。


もっとも、行政解釈の「日本国外で行われる主たる業務に関連して、従たる業務に従事する活動を短期間日本国内で行う場合」かどうかは、具体的ケースが「短期滞在」(短期商用ケース)の類型に該当するか否かを判断するにつき、
ひとつの基準を提供するもの理解することも可能です。


ただし、「短期滞在」の類型に含まれる短期商用ケースには、そもそも
「日本国外で行われる主たる業務」を想定できないケースもあります。すなわち、日本の会社の取締役に就任しているものの、非常勤であり、特に海外で当該会社の経営業務を行うことなく、年度数回の取締役会や株主総会に出席するだけの場合などは、取締役会等への出席は、「日本国外で行われる主たる業務に関連して、従たる業務に従事する活動」とはいえないのではないでしょうか。


※当該会社が外資系でない場合、国外取締役は、「投資・経営」に該当しませんので、「短期滞在」に該当しない場合、来日できないことになります。


したがって、「役務提供の対価を受けている場合」、行政解釈のように「日本国外で行われる主たる業務に関連して、従たる業務に従事する活動を短期間日本国内で行う場合」のみ、「報酬を受ける活動」に該当しないとするのではなく、まず当該活動が「短期滞在」の活動類型に該当するかどうかをしっかり検討すべきであり、その検討に用いる一基準として当該活動が「日本国外で行われる主たる業務に関連して、従たる業務に従事する活動」かどうかを吟味すべきであると考えます。


一基準に過ぎないので、他の場合であっても、「短期滞在」の活動類型に該当する場合を肯定することが可能となります。



2008年9月22日 執筆


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