中国企業による対日投資



(はじめに)

 世界6位の貿易大国に成長し、世界第2位の外貨準備高を有するようになった中国は、2002年、”走出去(海外へ羽ばたけ)”という戦略を掲げ、
中国企業が海外投資することを奨励し始めました。



 具体的には、中国企業の海外進出を支援するための法制度が整備され、海外投資手続が一部地域では簡略化されました。



 もっとも、

海外投資における外貨送金に際しては、外国為替リスク・利益回収保証金の審査事項が廃止されるなど規制が緩和されつつあるとはいえ、
一定の事前審査・許可が必要とされており、外貨管理局の許可証がなければ銀行で外貨送金手続を行うことができません(外貨管理条例21条)。



 すなわち、中国では、経常項目の外貨支出が有効な証憑を外貨指定銀行に提示することにより可能なのに対して、
資本項目の外貨支出は下記のとおり、関係部門の審査・許可を必要とします。



一.海外投資に用いる外貨資金の合法性・合理性の審査(外貨資金源審査)⇒外貨管理局



300万ドル以下⇒支局

300万ドル超⇒支局と総局




(必要書類)

1.申請書

2.国外投資項目のフィージビリティ・スタディ(FS)報告書

3.工商管理部門におる年度検査合格済み営業許可証コピー

4.公認会計士が監査した前年度の貸借対照表・損益計算書

5.外貨資金源の証明書
 
(1)自己保有外貨資金⇒外貨口座開設許可文書、直前期の口座残高表
 
(2)国内商業機関からの外貨借入⇒金銭貸借意向書、貸付機関の金融業務経営許可証及び営業許可証

6.その他提出が求められる資料




※現物投資のみによるプロジェクト、外国援助プロジェクト、国務院の許可を得た戦略性投資プロジェクトの場合、審査は免除されます。



(参照)

 国家外貨管理局が海外投資における外貨資金源審査に関する問題を簡略化することについての通知(中国語)
(2003年3月19日 国家外貨管理局公布 [2003]43号)





二.海外投資自体の合法性・合理性の審査⇒対外経済貿易部門




(上海市における手続)


1.申請⇒上海市対外投資促進センター(OID)


(必要書類)

(1)申請書

(2)プロジェクト概況及びフィージビリティスタディ

(3)合資(合作)協議書

(4)海外合資(合作)相手の資本証明書類

(5)会社定款

(6)会社董事会の投資に関する決議証明書

(7)有形資産及び知的財産権の証明書

(8)法人代表人の身分証明書

(9)派遣駐在予定の経営と技術管理職員の身分証明書

(10)最近2年間の財務監査報告書

(11)企業概況の紹介

(12)年度検査後の営業許可証副本コピー

(13)最近3ヶ月の納税記録



2.21営業日後に上海市私営企業海外投資プロジェクト登記証取得←上海市対外投資促進センター(OID)



3.上記登記証に基づき関連手続の申請



4.日本法人の設立登記



5.日本法人の登記簿謄本提出⇒上海市対外投資促進センター(OID)





※投資額が100万ドル超(現金投資の場合)ないし300万ドル超(現物投資の場合)の場合、
上海市対外経済貿易委員会外経処を経由して国家商務部の許可を得る必要があります。






三.投資用外貨資金の海外送金手続⇒外貨管理局


(必要書類-開業費送金の場合)

1.申請書

2.海外投資外貨資金源審査意見(外貨管理局発行発行)

3.プロジェクト許可証(対外経済貿易部門発行)

4.開業費の支払が必要であることの証明資料(海外関係機関発行)




(必要書類-契約履行保証金送金の場合)

1.申請書

2.営業許可証

3.海外専用口座開設地の口座管理規程

4.購入予定の資産・持分の関連状況の説明書

5.価値評価報告書




※海外企業の登記前でも、開業費・海外企業の資産・持分を取得するための契約履行保証金等の
前期費用を海外に送金することができます。



(参照)

外貨の決済、売却、支払管理規定第30条

「国内機構の資本項目の次の各号に掲げる外貨の使用は、次の各号に掲げる有効や証憑を提示して、外貨管理局に申請し、外貨管理局の許可証に基づき、その外貨口座から支払い、又は外貨指定銀行で交換して支払う。
(3)国外に投資する資金の外貨送金の場合は、国家主管部門の許可証及び投資契約を提示する。」



国家外貨管理局が海外投資における外貨管理改革問題をより一層深化することに関する通知(中国語)(日本語訳
(2003年10月15日 国家外貨管理局公布 [2003]120号)




※上記内容は、2004年2月29日現在、当事務所が把握している内容です。




許可のポイント
1.海外投資を行う中国企業に海外投資の体力があるかどうか

2.中国企業の海外投資が経営戦略上合理的かどうか

3.海外投資用の外貨資金を有しているかどうか(銀行から外貨を購入することなく、自社で用意できることが望ましい)

4.海外投資が中国経済の発展に寄与するかどうか



(ご参考)


外貨管理条例
(1996年1月8日国務院制定、1996年1月29日公布、1996年4月1日施行)


外貨の決済、売却、支払管理規定
(中国人民銀行制定、1996年6月20日公布、1996年7月1日施行)


中国企業による日本進出の方法
(在留資格の問題を中心に解説致しました)

在留資格取得に関する報酬 


日本法人と日本支店との比較


日本法人設立の手引き(中国法人向け)

日本法人設立の手引き(中国法人向け)(中国語)

日本法人設立費用 



日本支店設置の手引き(中国法人向け)

日本支店設置の手引き(中国法人向け)(中国語)




関連サイト)


国家外貨管理局(中国語)


上海市対外投資促進センター(OID)
(中国語、日本語、英語)


林 幹 国際法務事務所

当事務所は、中国企業の対日投資につき実績があります